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新人プロレスラー由利大輔さん死亡事故 * 2008/12/02(火) ※「拳論!取材戦記」より転載

新人プロレスラー由利大輔さん死亡事故   * 2008/12/02(火)

 故人の死から49日となりました。プロレスの世界に夢を持って入るも、右も左も分からぬまま命を落とすことになってしまった由利大輔さん、またご遺族の無念さは察するに余りあります。こうした悲劇についてしっかり向き合うことが関係者、またプロレスに関わった者の責務かと思います。この場を借りてお悔やみを申し上げます。(拳論一同 7日追記)

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 昨日夕刊フジにて改めて報じた由利大輔さんの死亡事故について、可能な範囲で補足をしておきます。

 この件は、たまたま当事者の選手が僕の後輩だったことから情報を頂いたもので、その後もあらゆる関係者より情報提供を頂きましたが、本来は当事者が詳細を明かすべきものと思い、猶予をもって続報を控えていました。しかしながら、10月18日の死亡事故、24日の死亡後、11月末になっても当事者が口を閉ざしたままで、ご遺族からは「何の説明もないまま」と怒りの声も届き、その状況を明かすためにやむなく記事公開に踏み切りました。
 警察の捜査の渦中で慎重になるべき部分はありますが、これまでご遺族、現場にいた選手、彼らと連絡を取っている知人・関係者、そして故人の知人たちから得た情報をいくつか書いておきます。全ては証言をもとにしたもので、事実に差異がある場合はぜひ報告してください。

・18日夜、新木場の試合会場のリングを借りた合同練習があった。
・主催者は佐野直で、大半の参加者は佐野から連絡をもらって集まったもの。「二瓶組RofC(我道会館)」と「グレートプロレスリング」、「ガッツワールド」の3団体による合同練習という形。
・終電で帰った選手もいたため、最終的に残ったのは佐野直ほか、菅原伊織、笠原寧、ガッツ石島、ダイスケ、ジパング・ザ・グレート、アップルみゆき、サトモ、また選手でない佐野の連れの女性、ジパングの連れの女性、別の知人男性。
・深夜1時、「RofC」の3人、菅原と笠原、故人の3人で「ダブルインパクト」をやることになり、体育用マットをリングに敷き、菅原が故人を肩車。周囲でこれを笠原がコーナーから攻撃をした。この際、由利さんが頭から落下してしまい、意識はあるものの体が動けなくなってしまった。
・救急車を呼び、由利さんを都内病院に搬送。由利さんの家族が菅原に「責任者は?」と聞いたが「ユニットだから代表はいない」と返答。ただし、笠原の方からは菅原の発言とは違う“正しい認識”が話されたという。その後、菅原と笠原は湾岸署に出頭し事情説明を行なっている。
・由利さんが24日に死去。直後に一部の選手が他の当事者たちに「葬儀に参列しないよう」連絡をしていたという。由利さんの知人は当事者が葬儀にすら顔を見せていないことに激怒、これを記事にも反映させたが、実は入稿後に葬儀には「菅原、笠原の2名が訪れていた」ことが会葬者により判明。関係者の配慮があって、ご遺族の見えない場所にいたため来場していなかったものと思われる。葬儀には「現場にいなかった数名の選手・関係者」が参列したが、菅原・笠原以外の当事者は誰も来場せず、弔電なども一切なし。
・また当事者間での話の食い違いも見られている。佐野はある関係者に「ダブルインパクトをかけるとなった時にその場に居た全員で止めたのに、菅原は聞かなかった」と話したというが、現場にいた者に聞くと「止めた事実はない」としている。
・由利さんは4月に入門、わずか4ヶ月後の8月にデビューし2試合を行なっているが、所属団体が常設リングの道場を持たないため、デビューまでにリングを使った本格的な練習はわずか2回だったという。デビュー時に喧伝された「空手の実力者」というのは嘘の発表で格闘技経験はなく、大半の練習はウェイトトレーニング中心。
・現在の弱小団体の大半は基本がノーギャラ。チケットを数枚買い取るか、売ることを条件に出場するため、主催者はほとんどノーリスクで、素人でもチケットが売れるなら簡単にリングに上げる傾向になっているという。

 他にも情報は多々ありますが、現時点では心配したファン・知人関係者らがある程度の事故内容を把握できる範疇にとどめておきます。

 個人的見解になりますが、この事故はまず練習内容に大きな誤りがあるとしか思えません。まず「体作り」そして「受け身の基礎」が徹底された上でやれるはずの大技の実験を、最初からいきなりやらせたというものでしょう。関係者の間には「由利さんは本番に強い」なんておかしな評判があったようで、これは例えばサーカス団に入ったばかりの新人を「君は運動神経がいい」と、いきなり空中ブランコの練習をさせたら落下して死亡した、というようなもの。ハッキリ言えば指導者の素養がない人間たちによる合同練習だったと言えます。
 これは現場にいたレスラー自身がろくな練習経験がないからであって、一人でもまともな練習を経験してきていれば「それより前にこれを身につけろ」と順序が分かるはず。そもそも技術を学びたければ若い選手で集まるより、熟練者に指導を求めるはずで、それをしないのは「地道な基礎練習は省いて早く試合で目立つことをやりたい」という風潮に他ならず、「プロレスの技術を学びたい」のではなく「リングに立ってかっこいい技を見せたい」だけの連中だということです。こうした状況の背景には「誰でもプロレスラーを名乗れる」ことが挙げられます。
 これがもしプロボクシングだったらどうでしょうか。プロライセンスを持たない素人兄ちゃんが自分らでリングを借りて「ボクシングルール」の興行を行なっても、誰も彼らを「プロボクサー」とは呼びません。最近まで女子ボクシングが無法地帯でしたが、JBC認可の女子ボクシングがスタートしたと同時に非認可の団体・興行は消滅しました。

 僕はプロレス時代、グローブを付けて頑なにキックボクシングスタイルを貫きましたが、これは言い換えればプロレスの技術に乏しいままそれをやることが嫌だったからです。奥村茂雄選手が無償で開いてくれたリング練習にはこっそり通っていましたが大した技術は身についてなく、それでも試合に出られるズサンな世界感が嫌で、最終的にはプロレスから去り近年は格闘技の試合のみやっていました。プロレス界がどうなろうと僕の知ったことではないですが、メジャー団体の選手がプロレスのブランドに誇りを持ちたければ、団体間で協力してプロライセンス制度を作り、共通審査を通過した者以外は「自称レスラー」とし、ライセンスのない人間を使う団体は「プロレスと認めない」とする・・・そんな一案を提示したいです。確かな技術を持った人間だけがやれるものでないと、今後また由利さんのような悲劇が起こると思います。ご遺族は現在、精神的にかなり厳しい状況に置かれています。その悲痛な声を聞いても、選手関係者は他人事でいられるんですか?(片岡亮)

 ※この件に関しては故人の知人らが事実検証の会を結成して動いております。そちらで専用の窓口サイトを設置することになると思います。

 p。s。「当事者の選手が僕の後輩だったことから」としていますが、その後輩からは一度も連絡をもらってません。念のため。

(以上、「拳論!取材戦記」 http://boxing.dtiblog.com/ より転載)

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